ヘルシンキのコルケアサーリ動物園(Mischan ja Maschan aukio 1, Helsinki)で2カ月齢を迎えた希少種のマヌルネコ3匹が現在、順調に成長している。3匹は今月、母親に連れられて初めて巣の外へ姿を見せた。
3匹の誕生は、母親のマヌルネコが5月上旬から巣箱で過ごす時間が増えたことから判明。その後、母親が口にくわえて子どもを運ぶ姿が確認され、6月に初めて巣箱の中を確認したところ、3匹の赤ちゃんがいることが分かった。
飼育員は、親が安心して子育てできるよう、誕生後はできるだけ干渉を控えている。母親は飼育員が飼育エリアに入ると、すぐに巣箱へ入り、赤ちゃんたちを守る行動を見せていたという。数週間前から赤ちゃんたちは巣の外へ出始め、6月末には初めて屋外で姿を見せた。父親は繁殖期を除き、別の飼育スペースで暮らしている。マヌルネコは野生でも単独で生活し、自分の縄張りを大切にする習性がある。
3匹の健康チェックは、母親が朝の食事で外に出ている間の短時間で実施。獣医師による診察では、マイクロチップの装着と駆虫薬の投与を行い、体重測定や個体識別用の撮影、性別の確認も実施した。
飼育員のヨンネ・ステンロスさんは「3匹のうち1匹は雄、2匹は雌と見られる。このペアにとって過去最多の子どもの数となる。最初の繁殖では1匹、2回目では2匹の赤ちゃんが生まれた」と話す。
「世界最古の猫」と呼ばれるマヌルネコは、中央アジアに生息するネコ科動物。農地の拡大や産業開発による生息地の減少に加え、野犬による被害などを背景に、多くの個体群が減少傾向にある。こうした状況を受け、ヨーロッパの動物園では、種の存続を目的とした保全プログラムを進めている。ヨーロッパ動物園・水族館協会(EAZA)の繁殖プログラムでは、遺伝的多様性を維持しながら動物園で暮らす個体群の安定化を目指している。
現在、世界の動物園で飼育されているマヌルネコは約210匹。今回生まれた3匹も、8~9カ月齢まで母親の下で育った後、保全繁殖プログラムの担当者が選んだ動物園に移り、繁殖に参加する予定。
同園は、園内での繁殖だけでなく、野生下でのマヌルネコの保全にも取り組んでいる。9月に同園で開催される保全イベント「Kissojen Yö(猫たちの夜)」で集められた寄付金は、中央アジアでの生息数調査や生息地の把握、人工巣穴の研究、地域住民と連携した保護活動などに活用される。