ヘルシンキ大学が3月24日、新型コロナウイルスの予防薬として開発した点鼻薬がオミクロン変異株の新たな亜種にも効果があると発表した。
同大研究グループは1月、新型コロナウイルスの感染を予防する効果のある分子「TriSb92」の開発を発表。マウスを使った動物実験では、TriSb92を鼻腔に投与すると最大8時間にわたって新型コロナウイルスの感染を防ぐことができることを実証した。同大は新型コロナウイルスのスパイクタンパク質のうち、現在までに出現したオミクロン変異株の全ての亜種に共通する領域を特定し、TriSb92がその機能を阻害することを明らかにした。
同大研究グループのアンナ・マケラ博士研究員は「TriSb92を経鼻投与すると、感染予防効果が極めて高い。細胞培養実験では、XBB、BF7、BQ.1.1といったオミクロン株の新たな亜種にも効果があることが示された。現在のワクチンは、最新の亜種の感染を防ぐには有効ではない。TriSb92が作用する新型コロナウイルスのスパイクタンパク質の領域は、これまでに出現した全ての変異株においてほとんど変化していないため、将来の新型コロナウイルスの変異株に対しても有効であると推測できる。TriSb92は、ワクチンの開発から製造、流通を待つ間、新たなパンデミックを抑制するための非常に重要な第一線の防御手段となり得る」と説明する。
同大は、同点鼻薬はワクチンに代わるものではなく、あくまでも補完的なものであるとしている。今後、TriSb92を臨床試験で検証し、同点鼻薬の市販化を目指す。