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ヘルシンキの「かもめ食堂」が閉店へ フィンランドブームの象徴的存在

「かもめ食堂」の店内(写真提供=Ravintola Kamome)

「かもめ食堂」の店内(写真提供=Ravintola Kamome)

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 ヘルシンキの日本料理レストラン「Ravintola Kamome(かもめ食堂)」(Pursimiehenkatu 12, Helsinki)が9月20日で閉店する。

「かもめ食堂」の外観

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 フィンランド料理を提供するカフェ「Kahvila Suomi(カハビラ・スオミ)」としてオープンした同店。日本映画「かもめ食堂」(2006年公開)の撮影場所として使われたのを機に、日本人観光客の来店が増加。2015年に現店主の小川秀樹さんが、当時オーナーだったフィンランド人夫婦の引退に伴い、その意思を引き継ぐ形で「Ravintola Kamome(かもめ食堂)」の運営を始めた。

 「かもめ食堂」は荻上直子さんが監督・脚本を手がけ、2006年に公開され、人気を博した。主演は小林聡美さん、片桐はいりさん、もたいまさこさんで、フィンランド・ヘルシンキを舞台に、3人の日本人女性と地元の人々との交流を描いた。その年の「第80回キネマ旬報ベスト・テン 日本映画ベスト・テン」で9位に入賞したほか、北欧ブームの火付け役になった。

 同店は、おにぎりやすし、焼き鳥、ウナギのかば焼き、ラーメンなどの種類豊富な日本食や居酒屋メニューを中心に提供するほか、すし教室も開催。日本をはじめとするアジア圏の観光客や地元市民に愛されてきた。

 小川さんは「10年間にわたり営業を続けてきた。今回の閉店は一区切りであり、私たちにとっては終わりではなく、新たな章の始まり。日本の茶道には『守破離(しゅはり)』という考え方がある。まずは型を守り(守)、次に型を破り(破)、そして最終的に型から離れて自らの道を見いだす(離)。今回の決断も、その精神に通じる新しい挑戦への一歩と受け止めている」と話す。

 公式SNSには、閉店の知らせを知った利用客から惜しむ声やこれまでの感謝の言葉が寄せられている。

 小川さんは「日本のお客さまや地域の皆さまには感謝しかない。現在、市内中心部への移転を含め、次の事業展開を検討しているが、最終的な決定には至っていない。今後は、より幅広い日本の食材や文化をヨーロッパに紹介できれば。今後の計画については、決まり次第改めてお知らせする」と説明する。

 営業は月曜~金曜の11時~22時(土曜は13時~)。日曜定休。

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